2017年8月9日水曜日

STRAFE the Game おもろいの、つまらんの。

STRAFE the Game
http://store.steampowered.com/app/442780/STRAFE/

Strafe the Hype
血が飛び、四肢が散り、臓物が爆ぜる。帝王切開によってこの世にスポーンした僕たちは生まれついての人間ミートグラインダーだ。ビデオゲームは原始的な表現レベルにおいてはよりスプラッターであるべきである。ボタンを押したら光る、ボタンを押したら音が鳴る、ボタンを押したら弾がでる、ボタンを押したら血が噴き出す。光速、音速、弾速、心臓のポンプスピードの差によって生じるディレイ、時間差で順に浴びるそれは、世界で一番受けたい物理の授業。



この96年風ぐちゃぐちゃローグライクFPSはローレベル、原始的なゲームの手触りにおいてはとても素晴らしい物だった。ロックプリセットでSleng Tengのリズムを再生できたのが唯一カシオトーンだけであったように、光が出て、音が出て、弾が出て、血が出るという当たり前の事が当たり前に出来ない世の中で、それが出来るという卓越したビデオゲームだ。

超ハイプなトレイラー

一方でStrafeはいわゆるHypeなゲームでもある。いつものDevolver Digitalというか、いつものMike Wilsonのスタイルで外連味に溢れたヴァイラルビデオや強烈なイメージがリリース前に連続的に放出されたが、それらは実態を正確に表したものではなかった。遡ればかのGathering of DevelopersやIon Storm、Quakeでの広告キャンペーンに行き着くように、過剰表現は彼らの確立されたスタイル、華であり、同時に不誠実な面でもある。まさに成功と失敗が明滅する山師の世界だ。



実際に肉と血が飛ぶより先の領域でStrafeは歪なゲームだった。96年以前のセーブロード前提で作られた底意地の悪いSandy Petersenイズムを汲む暴力シューターとSpelunky以降のヘルス回復手段を極めて限定的に制限する行くも戻るも留まるも地獄の現代的登攀型ローグライクゲームのミックスという野心はPixel Titansの手に余る命題だった。Strafeはその喧伝されたそれと異なり、ハイレベルなメカニクスにおいてはフラットな作業チャンクを淡々と処理するゲームである。

端的に言えば、NetHackにおけるZooなどのSlash'em型特殊部屋(チュンソフトでいう所のモンスターハウス)に類する構造をStrafeのプロシージャルマップ生成機能は作ることができない。一歩踏み出せば致死的なトラップと凶悪なモンスターが蠢く悪夢の中でニトロを満載して黄金を掴みにいくような破滅的な享楽、抗えない死の誘惑を数学的に生成する20世紀の悪魔的学問としてのRogue(Hack)の本質を諦めた瞬間にStrafeは高次において平々凡々なゲームになった。



特殊部屋の極端なリスクリターンがない上に、殆どの場合、敵は正面からこちらへ向かってくるというフェアな出現パターンが採用されている。よって見映えを気にしないで強いプレイを目指した時、Strafeは背後にリスクを抱えないように安全なエリアから順繰りに前進して部屋をクリアしていく事になる。2Dゲームの時代から任意スクロールシューターはゲームデザインとして消極的な前進を潜在的に評価しすぎていて、魂斗羅にしろ、大阪アイレムのガンフォース、ジオストーム、メタルスラッグの系譜にしろトリガーハッピーな表層イメージの強い"文脈"は常にそこに腐心していた。遡ると藤原得郎は古典的な解法としてプレイヤーの攻撃射程を有限に、敵の射程を無限にすることで、相手のアウトレンジ攻撃を掻い潜りながら自分のマシンガンを押し当てるように狂気の前進を続けるゲームとして戦場の狼を規定したし、若き日の伊集桂子は怒のスクロールデッドゾーン位置を異様なほど前に設定している。


つまり単に走って銃が撃てるゲームは、得てして歩いて銃を撃った方が強くなってしまうものなのだ。すなわちRun&Gunというジャンルにおいては、なんらかの強制力を用いて、走ら(前進さ)せて撃つ構造に仕立てる事こそがゲームデザインにおいて真に重要なのだ。一方でゲームの進行速度がプレイヤー側に委ねられている為に、一旦後退しながらマイペースに戦う事が強力なStrafeはこの段階の練りこみが不足していると言わざるをえない。



で、結局何が言いたいかと言えば、Strafeの賛否が分れるのはgifアニメ的な瞬間、インスタントな3秒ループレベルでの快楽と、1時間半に及ぶ平坦なゲームプレイスルーの作業的退屈さのズレそのものにある。それは榴弾を受けてきりもみ回転しながらすっとんでいく肉塊に価値を見出すか否かとも言い換えられるだろう。つまりはこの捏ねくりまわしてふくらました何の面白みもない僕の文章なんか読まずにチョップされたgifの垂れ流しを浴びてその本質、その魅力、人生の光当たる箇所をみつめれば良いのだと思う、Strafeはgifが面白い、人生の質とは詰まるところ僅かな余暇の事であるように、たぶんそういう事なんだ。


94年頃にStrike CommanderがPC98に移植された時、スピーチパック(死語、CD過渡期にメディア容量の都合で音声データを収録できなかったゲームに後付けで音源を追加する拡張セット)が適用されているにも関わらず無謀にもFD版が発売された。総ディスク枚数23枚、内1枚はスクリーンセーバーだった…思い出せる限りでディスケットが一番多かったゲーム。

ugh