2012年3月2日金曜日

Jesper Kyd スカンジナビアデモシーンの寵児編



現在クローズドアルファテストが日本時間朝4時という辛い時間帯に定期的に開催されている、ブラウザベースのハードコアゲームHeroes And Generals。これは元IO Interactiveのメンバー達による新興会社Reto-motoの処女作で、大局的な戦略マップを基にクラスベースマルチプレイヤーFPSによる局地戦闘と合わせて展開される野心的なWWIIゲームだ。



アルファ開始頃に公表された上のトレイラーや、戦略マップ上で流れる印象的なテーマ。これを書いたのが、意外な事にIO作品で数え切れぬ名曲を提供し続けながらも、現在大人の事情でIOとは距離を置きつつある、あのJKことJesper Kydであった!今回はデンマークが生んだ、モダンビデオゲームミュージックの気鋭Jesper Kydのキャリアを、彼の携わった作品と共に追って紹介しようと思います…まぁいつものネットに転がってる情報を適当にまとめただけのやつですね。



Kydの作曲家としてのキャリアは、彼がまだ10代の頃に遡る。72年にデンマークで生まれたKydは幼い頃から楽器に親しみ、コモドール64との出会いによってホビーPCの門を叩いた。スカンジナビアの伝統に従い、自然とAmigaに移行すると、すぐさま伝説的DemoグループThe Silentsを結成し、スカンジナビアDemo/Music Diskシーンにて頭角を現すのだった。

Silentsの伝説的Amiga Demo、Hardwired
当時(91年)Kyd弱冠19歳である…おそろしや。

こちらは93年のDos Demo、Optic Nerve
ボクセルによる地表がグリグリ動くシーンなんかが見所なのだが、
今回はKydの音楽に集中して聴いてみよう。


Hardwired発表後、見事にシーンの名声を得たSilentsは、メンバーの多くがそのままZyrinxという商業ゲーム開発会社に転身する。KydもZyrinxにてプロのコンポーザーとしてのキャリアをスタートさせたのだ。そしてまずは彼らを一躍有名にしたデモの名前そのままにHardwiredというGenesis向けタイトルの開発に着手、発売時にRed Zoneと名を改めたそれは、スーファミで言うMode7に当たる機能がない筈のGenesis(メガドラ)で異常なまでにスムーズに画面が回転、スクロールするデモ系技術者らしいフィーチャーが散りばめられた狂気の俯瞰シューターであった。


この作品はまったく知らなかったのだが、最初からいきなり
スクロール、回転、ヘリの着地Zフェードの擬似縮小拡大と何もかも狂っている。
ハードの限界に挑戦するという実にハッカー系開発者らしい仕事ぶりである。



またこの時期、KydはZyrinxに籍を置きながら、外部のタイトルのコンポーザーもしていた。結局Zyrinxは97年頃には解散してしまうのだが、それまでに広げていたパイプはゼロ年代以降、フリーランスとなるKydに少なからず何かを与えたようだ。

95年のバットマン&ロビン版権ゲーム(Gen版)
Kydは外注コンポーザーとして作曲を行っているらしい。
確かにこれはデモシーン直系のダークエレクトロだ、
あんまりゲームには合ってない気がしなくもない…



Zyrix解散後、Shinyのメサイヤ、Shinyに代わってBiowareが引き継いだMDKの続編、とInterplay/Shiny系で立て続けに仕事をしつつ、遂には世界的にKydを有名にしたIO Interactiveとの蜜月の日々が始まるのだが…意外と書いてたら長くなってしまったので、ゼロ年代編として次でまとめようと思います。


参考:
http://www.jesperkyd.com/ 本人公式
http://www.mobygames.com/company/zyrinx mobygamesのZyrinx概要
http://www.thesilents.de/  Silents公式(閉鎖)

0 件のコメント:

コメントを投稿

ugh