ともかく、溺死君の吐き出す言葉はリアルだ。
少なくない企業が1時間1000円にも満たない金額で人間を買い叩き、彼らは280円の牛丼なんかを食らって生きているだろう、それをして自由で自立した日本の若者の生活なのだと定義されるのだから、僕らは誰かに打ちのめされている、存分に打ちひしがれている。溺死君の書く言葉はそういった現代的な痛々しいほどの"ビート"感覚をバックグラウンドにしつつ、その財布の中身に反比例して豊かなユーモアに満ちている。
溺死君の紡ぐ言葉はとても真摯だ。
Doom2 ダブルバレルショットガンマスターピース |
Marathon2 古典的なデュアルダブルバレルショットガン |
溺死君のインテリジェントな代替現実をのりしろにして閉じたスリリングな言葉運びを支えるsoakubeatsのトラックはいかがわしい薄汚れたパルプ紙の匂い立つそれで、聴く者をひたすらに焦燥とさせる。
これは#1のような"快"の音を打ったと思えば、つづく#2、id SoftwareのRageからの連想(この曲で溺死君は危ない目をしたジョン・カーマックという最高のフレーズを繰り出している)を多分に含んだ物質Dにてリスナーの快適な呼吸を阻害する重苦しい煙の音を打つ。ビデオゲームインスパイアを称するクソみたいなスーパーマリオブラザースサンプリングからなる産廃トラックでないだけでマシな所を最大級の危ういサウンドで見事に応えた。
危ない目をしたジョン・カーマック |
このアルバムタイトルの通り、僕らの為の国なんてどこにもない。モリッシーはイングランドは僕の国なんだから僕(ニート)を養うべきだろうと明け透けに歌っていたが、溺死君もまた、病的なままに、あの時から30年が過ぎる今日の日本で、人生の光当たる部分が、いくばくあるのかをひたむきに歌っている。
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