2012年1月25日水曜日

2011年の注目PCタイトルを振り返る


White Gold: War in Paradise
VD的GoTYはこのWhite Gold(原題Xenus2)で決まりだ。北米リリースは2010年末、Gamers Gateなるオンラインデジタルディストリビューション専売のタイトルで、かつてAtariから北米でもリリースされたBoiling Pointの続編(原題Xenus)である。White Goldは元々2008年にCIS圏で発売されたタイトルで、開発元Deep Shadows(Codename Outbreak開発後、StalkerのGSCと分かれた片割れ)は長らくグローバル展開を望んでいたが、パブリッシャが決まらず宙ぶらりんになっていたらしく、英語版は満を持しての登場となった。

広大なカリブ海に浮かぶメキシコの美しい自然、そこに麻薬カルテル、軍隊、ゲリラ、蛮族、クッソ汚いCIA連中に異常に沸点が低くすぐ銃をぶっ放す市民らが大概好き勝手暴れる政治不安の第三世界を舞台にしたフリーローミングRPG/FPSのハイブリッド作品、前作同様、銃火器とビークルがフィーチャーされている。



 グラフィック周りはもとより、ストリーミングロードの仕様か常にガックガクだった前作から改善されたオープンフィールドは現在の西側基準で見ても目を見張るものがあり、PCゲームならではのエクスペリエンスを提供している。Gamers Gate版には致命的な音声不具合が存在したものの有志のパッチにより現在は改善されおり、セール時50%~75%offになった際には絶対に買いの一品。



Precursors
Gamers GateにてWhite Goldと同時にリリースされたDeep ShadowsによるRPG FPSハイブリッド作品、現地リリースはWhite Goldより後の2009年。現代を舞台にしたXenusシリーズと異なり、デューンを彷彿とさせる異次元宇宙を舞台にした意欲作。White Goldと同じエンジンを使用しており、派閥争いに加担するコウモリ男的ゲームプレイを継承しているが、今作では新規フィーチャーとしてスペースフライト要素が追加されている。同じ東欧圏にはスペースフライトコンバットにFPSをのっけたハイブリッドゲームとしてParkanという先駆者がいるが、FPSパートの地に足をつけ這いずり回って戦う感覚はこちらの方が遥かに優れている。



Gray Matter
後期Sierra最大の人気ライターJane Jensen女史による久しぶりの書き下ろし新作、ドイツでの発売から半年ほど経ってからの2011年リリース。彼女の代表作Gabriel Knightは 神話や伝承といったオカルト要素を絡めた神秘的なミステリー作品だったが、今作では隠遁生活を送る奇妙な教授の過去、脳科学、超常現象、マジック等の複数の謎を利発的なマジシャン娘サマンサを通して解いていく、そしてそれらは最終的に一つの線で繋がり…。オールドスクールな(古臭い)ポイントアンドクリックスタイルのADVに抵抗がなければ。



City Car Driving
ロシア製乗用車都市シミュレータ、元々3D Instructorという名前で長くCIS圏では展開していたタイトルだが、2010年末にタイトルを改め、合わせて英語圏に展開した。ただ淡々と街を自家用自動車で走るだけのゲームなのだが、トラフィックAIが大変良くできており、リアリティのある実に味わい深い作品である。交通量もまばらすぎず、東京の大渋滞ほどでもなく、まったりとした街乗りの雰囲気と日本人にとっては手軽な旅行感覚すらも楽しめる。今後ホイールとトラックIRを揃えた時、エクストリームレーシング以外の大変良い選択肢の一つとなるだろう。



Bus & Cable Car Simulator
ドイツ製バスシミュレータ、サンフランシスコを舞台にバスとケーブルカーの運転手を体験できる。これもSim/シリアスゲームだが、City Car Drivingと違ってミッション型お仕事ドリブンなゲームで、フリーローム性はやや低めなのだが、人間のスケールに執念とも呼べるレベルで拘ったゲームで、常に運転手であるプレイヤーの目線で世界が描かれている。例えばフィールドでの徒歩移動が可能であり、建物のオブジェクトを突き抜けたり作りはメインストリームの都市テーマゲームというかGTAやらなんやらに比べると甘いが、一人の人間による徒歩移動が描かれる事によって、都市のスケール、バスをはじめとした自動車の万能感が上手く表現できており、こういった下地の積み重ねによって乗り降りの精算手続きを一々操作させる等のディティールもより際立って見えてくる。数あるバス系シムの中で現在最も没入感が良いタイトルの一つ。



Take On Helicopters
チェコ製ヘリシム。 Operation Flashpoint、Armaの製作元であるBohemia渾身の新作で、Arma2のエンジンを改造し、専用の都市トラフィックを追加しており、ヴィジュアルクオリティとディティールはフライトシム初参戦にして最高レベルの物を出してみせたと言えよう。これもまたキャリアモード(ラーキン兄弟の民間ヘリ会社物語)、ミッションモード共にタスク型のお仕事ドリブンなゲームだが、これも大変没入感に優れたタイトルである。徹底したFPP(First Person Perspective=一人称視点)で描かれ、徒歩移動、乗用車、ヘリコプターと各スケールでシアトルのビル街~郊外が丁寧に表現されており、変な所にヘリを着陸させてしまったものだから、降りてから目的地へ徒歩移動するのが大変だったとか、ガス欠で会社に戻れず補給の為に給油に立ち寄るといった無駄な手間が仮想世界にリアリティを与えている。Arma同様使い勝手の良いミッションエディターが付属し、自分でシチュエーションを作成したり 、コミュニティのコンテンツ追加を楽しめるModフレンドリーな点も良い。

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