2012年1月25日水曜日

Easy to Learn,but Difficult to Master!

先日ラマソフトのゲームが凄いという事をとある席で力説したので、こっちにもラマソフト及びその唯一の中心人物ことジェフ・ミンター氏の偉業を時系列を追って抜粋しよう!Youtube様々のおんぶ抱っこだけど。

氏のキャリアは80年代初めから始まっており、非アーケード出身者にしてはかなり古参な方である。氏はイギリスの生まれなので、はじめの頃はおのずとZX Spectrum(UKで大変シェアの大きかったホビーPCつーかマイコン、宿題の為に買うのだ!)向けビデオゲーム開発からスタートし、そのまま自然な流れでVCSやコモドール向けタイトルをコンスタントに製作していく。既に80年代のこの頃からなんだか常人と違うユニークなテイストの快作(怪作?)を世に多数送り出している。

初期の最も有名な作品は83年のコモドール64用タイトルAMCこと「Attack of the Mutant Camels」だろう、突然変異を起こした巨大ラクダを相手にDefenderのような宇宙飛行機がレーザー光線で戦うという突飛な内容だ。


スターウォーズの時にも書いたが、この頃はマシンスペックの都合もあって、黒バック(宇宙)に爆発音ノイズというデザインはビデオゲーム業界どこも同じなワケだが、ミュータントキャメルのユニークな存在に度肝を抜かれる。ジェフ・ミンターのデザインのベースである偶蹄目(ぐうていもく)フェチが強烈に自己主張する奇跡の一品。



90年代半ばにはAtari ジャガー向けにエキセントリックな(色々な意味で)オンリータイトルを放出する、伝説のような作品ばかりなのだが、最も有名なのはTempestのリメイクTempest2000だろう、エレクトリックミュージックをバックにパーティクルの洪水、光のウェーブが画面を覆いつくす狂ったエフェクトシューターだ(ゲームプレイ自体はベースのままなので既に平凡だったが。)


タイトル画面からうねりまくりのフェードしまくり、天然のヤバさが匂いたつデジタルの悪夢とも言うべきヴィジュアルだが、クロネンバーグ監督のカルトなアブノーマルメタモフォシス(変態変態)映画Videodromeからの引用「Television is the retina of the mind's eye(テレビは心の眼の網膜です)」が呟かれるBGM(Mind's Eye)も強烈、VideogameDromeは勿論そこからのダブルインスパイア…


そして忘れてならないのが、Atariジャガー標準搭載のCDプレイヤー、このプレイヤーに搭載された機能VLMがジェフ・ミンターの開発なのだ。これは近年のプレイヤー搭載ヴィジュアライザーの走りともいうべき存在である。音に同期してダイナミックにエフェクトが画面に出力される…ってもう似たようなのがそこら中にあるせいで今はインパクトなくなっちゃってるんだよな、多分誰もが想像するもののままです↓


コントローラでエフェクトの種類を選択すると、ボリュームなどに応じてダイナミックに渦が変化したりする、つまりはアレ。パッド入力によるスムーズなインタラクティブ性がビデオゲーム開発者らしい気配りだが他所が作った後発の物も全くそのまま過ぎて現在はちょっと過小評価されているような気がしてならない偉業の一つ。Body Musicとの相性が大変良いらしい。



そしてゼロ年代に入ると圧倒的知名度の低さを誇るNuon向けタイトルを生み出す、そうTempest3000とVML2、まさかのジャガータイトル(VMLはタイトルか?)の続編だ。知名度があまりにも低いのでNuonについてちょっと解説しておくと、一応PS2らと同じ世代(6th Gen)のコンソールだが、日本国内販売なし。3DOと同じく(既にここが死亡フラグ)ハードの規格をVM Labsという会社が出し、自社で本体製造はせず、他のハードウェアベンダがそれぞれ本体を製造/販売するという特殊な供給方法を採用している、メディアはDVDでプレイヤー機能も標準搭載。まったく流行ることなく一瞬で消えた修羅のゲーム機である。


Tempest3000、ジャガー版と見比べると一目瞭然、エフェクトが格段にパワーアップしたてんかん発作誘発ゲームの決定版だ。音楽もよりドープな雰囲気になっていたり、モーフィングしながら画面いっぱいにありがたいお言葉(Crosseyed and Painlessとかね)が表示されるとジャガー版も実はまだまだだったと気付くはずです。俺は初めてやった時、気分が悪くなってきて、そろそろやめるかなーって思った時「Not Yet」と画面にモーフィング文字が表示されてこれはヤバいと本能で感じとりました、ちなみに当たり前のようにソフトはプレミア。



最近はXbox360向けにやはり標準搭載のVML3(天然の危険な匂いがプンプンする解説書は箱オーナー必読)、Xbox Live ArcadeやSteam(Windows)など小額のダウンロード販売市場の円熟と共に、HD画質の光と音のてんかん誘発ゲームをコンスタントにリリースしています。これらはどれもTempest3000以上のてんかん誘発力を持っておりながらも、お手ごろ価格なのででかなりオススメ、キマります。中でも個人的にオススメなのはSpace Giraffe(宇宙キリン)、光と音の洪水、AMCを彷彿とさせるその力強い偶蹄目フェチ的タイトルはジェフ・ミンターa.k.a.Llamasoftの全ての本質が凝縮されたタイトルと言えるでしょう。


「なんだよこれ、またTempestか」という突っ込みをしてはいけない、見るんじゃない、感じるんだメェー。(画面だけだと全く分からないが、旧作に比べると死のリスクとスコア稼ぎの天秤を意識させるモダンなアーケードデザインにシフトしてます。)


最後につい先日リリースされた氏の最新作Minotaur Rescue、iOSでも相変わらず偶蹄目、過剰なパーティクルではあるが比較的目にやさしい作りである。iPhoneでも動作するのだが操作する自分の指で画面が見えなくて厳しい。推進移動と重力フィールドにクセのある全方位シューター、iPad推奨。


ケモナーってやつなのでしょうか?いやもっと業の深い何かだ。


今回のタイトル「Easy to Learn,but Difficult to Master」はTempest3000のパッケージにデカデカと書かれた僕の大好きな言葉(?)です。「覚えるは易し、されど極めるは困難である」誰でもすぐゲームを楽しめる間口の広さを持ちつつ、どんなにプレイしても決して底を見せず、プレイヤースキルの上達に合わせていつまでも遊ばせてくれる…良いゲームに共通する1つの重要な要素ではないでしょうか。

ugh